調査依頼

よく来てくれたね。

君がこのページを見ているということは、彼からの紹介かな? それとも、彼女からだろうか。

まぁ、どちらでも構わない。歓迎するよ。
なにしろ、このWebサイトの深部を調べるには、もう私一人では手に負えなくなってしまった。

君に依頼したいのは、このWebサイトのリニューアルに関わった後、消息がつかめなくなった3人についての調査だ。

表向き、この会社のWebサイトは2026年10月20日にリニューアルされている。

公開されているサイトを見る限り、特に不自然な点はない。
そこについては、私自身も一通り調べた。

だが、問題はそこに至るまでの過程だ。

少なくとも制作期間中、代表の田中を含む5人が、何らかの形でこのリニューアルに関わっていた。

にもかかわらず、現在公開されているサイトには、あたかも田中一人ですべてを作り上げたかのような痕跡しか残っていない。

残る4人については、名前も、記録も、制作に関わった形跡すら見つからない。

……実を言うと、その5人のうち一人が私だ。

だが現在、制作メンバーだった彼ら3人とは連絡がつかない。

最後に届いた連絡は、メンバーのうち一人がリニューアル作業の最中に送ってきた、ひとつのURLだった。

そこには、田中には知られないよう、秘密裏にアップロードしていたHTMLドキュメントが残されていた。

通常のサイトから辿り着くことはできない。
URLを知っている者だけが、そのページを見ることができるようになっていたらしい。

なぜそんなものを作っていたのか。

なぜ私にだけ、その場所を知らせたのか。
…いや、メンバーの中なら誰でも良かったのかもしれない。もしくは全員に送り、それを受け取ったのが私だけだったのかもしれない。

しかし、私はドキュメントを読んでも、そこに何が隠されているのかまでは分からなかった。
私はこの業務においては途中参加の身であり、このドキュメントの存在さえ知らされていなかった。

厄介なことに、このドキュメントを読み進めるためには鍵が必要らしい。

私は、その解除方法すら見つけられなかった。

そこで、一つの賭けに出ることにした。

私が最も信用している友人にこのURLを託し、そこから先は、私たちの代わりにこの記録を追ってくれる人へ渡してもらう。

そうすればいつか、彼が何を残そうとしていたのかを突き止められる人間が現れるかもしれない。

私が最後まで辿り着けなかったことを、彼らは恨むだろうか。

……いや。たぶん、そうではない。

田中が何を隠したのか。
そして、あのリニューアルの裏で何が起きていたのか。

それを誰かが見つけ、白日の下に晒すこと。

それこそが彼らの願いであるはずだ。

これを読んでいる君へ。

どうか、このサイトに残された記録を追ってほしい。

そして可能なら――

彼らが、どこへ行ったのかを突き止めてほしい。

そうそう。届いたメールの全文を残しておくよ。短文ゆえに何の参考にもならないと思うが、もしかすると君にならわかる何かが残っているかもしれない。

説明する時間がない。君にこのURLを預けておく。詳細は追って理解してくれ。

解除キーはドキュメント内に隠した。気になるキーワードがあれば、ページ下部のフォームに入力してみてくれ。

見るべき場所は目に映るもののみだ。ソースコードやアドレスバーの中には存在していない。

ドキュメントは表向き、至って普通の記述方法だ。怖がりの君を脅かすものは存在していない。

もしドキュメントの中に何らかの違和感を覚えたなら、それが鍵となるはずだ。

もしこの調査を受けられないのであれば、この場所のことは忘れて、会社ページに進んでくれるといい。